Slack連携で取引先チェック100%を実現。海外対応も強化したキャディの反社チェック体制

「モノづくり産業のポテンシャルを解放する」というミッションを掲げ、製造業向けAIデータプラットフォームを展開するキャディ株式会社。製造業AIデータプラットフォームCADDiを核に、国内外の製造業の知見を資産にすべく、事業を拡大してきました。グローバル展開の加速や、内部統制の強化を見据え、同社は顧客・仕入先・業務委託を横断した全件チェック体制の構築を目指していました。しかし従来の反社チェックでは、属人化によるチェック漏れや、海外調査の限界、記事閲覧ごとの従量課金コストといった課題を抱えていました。
解決策として導入したのが、「RiskAnalyze」をビジネスコミュニケーションツール「Slack」と連携させた新たな仕組みです。契約レビューを入口に自動スクリーニングし、結果通知から可否判断・履歴保存までをSlackで完結。検索時間は従来の15〜20分から0〜5分に短縮(ヒットなしならゼロ分)され、より少ない工数で国内外を含む全件チェックを網羅できる体制を実現しました。
今回は、法務部の森脇様と経理部の佐藤様に、導入前の課題やツール選定の経緯、現在の運用体制と成果、そして今後の展望について詳しく伺いました。
Slack連携によって国内外のチェック100%を実現
――RiskAnalyze導入以前、反社チェックはどのように実施されていたのでしょうか?
森脇:導入前は、新聞記事閲覧サービスを使って手動でリサーチを行っていました。各担当者が必要に応じて検索をかけ、記事を確認するという流れです。
反社チェックの申請ルール自体は存在していましたが、現場で十分に浸透しておらず、従業員が申請フローを踏まないケースも少なくありませんでした。そのため、実際には法務部が契約チェックの段階で気づいた案件しか調査できていない状況でした。
――導入に至った当時の課題は何だったのでしょうか?
森脇:課題は大きく3つありました。
①申請フローの未浸透
本来は、取引や契約の締結時に従業員から申請してもらうルールがありました。しかし十分に浸透しておらず、実際にはフローを踏まずに進めてしまうケースもあり、その結果、法務部が契約レビューの段階で気づいた案件しか調査できない状況でした。
②調査時間と工数の負担
リスク情報がヒットした際には、関係者に対する情報収集も含めると1件あたり15〜20分ほどの検索時間を要しており、業務効率の面でも大きな負担となっていました。
③海外取引先の調査不足
海外の取引先については、日本で報道されている場合に“たまたまヒットする”程度で、十分な情報を得られず、網羅性に課題がありました。 加えて、記事閲覧ごとにコストが発生する料金体系による費用面での課題もありました。内部統制を強化するにあたり、監査対応や外部からの信頼確保という観点からも、これらの課題を解決する必要がありました。こうした状況を抜本的に改善しつつ、利便性とトレードオフにならないよう取引先のチェック率を100%に網羅するために、RiskAnalyzeを導入しました。
――実際に導入してみて、どのような変化がありましたか?
佐藤:導入によって、反社チェックの網羅性・効率化・コスト削減・そしてガバナンス強化と多方面で改善がありました。
まず、全従業員が必ずアクセスするSlackを通しての申請をフローに組み込んだことでチェック率100%を実現する体制が整い、今までできていなかった海外取引先の調査も可能になりました。検索時間も従来の15〜20分から平均5分程度に短縮され、結果が0件の場合はボタン一つで承認できるなど、実質ゼロ分で完了するケースもあります。その結果、担当者の負担や工数が大幅に減りました。
さらに、チェックを契約レビューのフローに組み込んだことで、ルール逸脱の案件も可視化され、内部統制が強化されました。社内外に対して信頼性の高いリスク管理体制を示せるようになった点は大きな成果です。加えて、取引先からの信頼向上にもつながっています。
――RiskAnalyzeをお選びいただいた理由は何だったのでしょうか?
森脇:一番の決め手は、API連携の柔軟性とSlackで業務を完結できる点です。
当社では、全社員が使用するSlackを起点にして、反社チェックを100%実施できる仕組みをつくりたいと考えていました。RiskAnalyzeは、単に検索結果のURLを返すだけでなく、ヒットした記事の要旨や件数内訳までSlack上に直接返してくれるので、わざわざ別画面に移動しなくても、その場で内容確認から可否判断まで完結できるんです。結果が0件ならボタン一つで承認、ヒットがあれば担当者に通知が飛ぶといったフローを実現でき、「Slackで完結する」という当社の希望にぴったり合致しました。
加えて、海外情報の充実度と検索の柔軟性も大きなポイントでした。当社は海外の取引先や委託先も多いため、海外法人や制裁リストを含めて幅広く検索できる点は他サービスと比べても優位性がありました。実際に比較検討の際、以前新聞記事閲覧サービスでヒットしたリスク情報を入力して比較してみたのですが、海外法人名での検索結果に差が出たことも確認しています。
――SlackとRiskAnalyzeの連携で苦労や工夫した点があれば伺えますでしょうか?
佐藤:連携の構築自体は、外部のiPaaSツールを使い、仕組みを構築できました。もちろん一定の労力はかかりましたが、ツール選定の段階から「Slack上で完結させたい」と思い、それに応えられるAPIを持つRiskAnalyzeを選んでいたので、大規模なエンジニアリング開発もなく、比較的短期間でスムーズに実現できたと思います。

海外取引の拡大や急速な事業成長に対応できる網羅的なチェック体制
――反社チェックの導入やRiskAnalyzeの利用を検討している企業に向けて、アドバイスがあればお願いします。
森脇:海外展開を視野に入れている企業や急速な事業拡大を目指す成長企業にとっては特に有効だと思います。RiskAnalyzeを導入することで、海外取引先も網羅的に確認でき、制裁リストや規制対象者の検知も可能になります。
これにより、監査対応やステークホルダーからの信頼確保に直結する体制を構築できます。さらに、既存の業務フローやシステムと連携できる点も大きな強みで、従業員の負担を増やすことなく、むしろ業務負荷を減らしつつ、全件チェックを実現できます。
――ありがとうございます。RiskAnalyzeに今後期待することがあれば伺えますでしょうか?
佐藤:現状の機能には十分満足していますし、日々の業務にとても役立っています。そのうえで、さらに進化するとありがたいと感じている点はあります。
それは、API連携の拡張とモニタリング機能の強化です。たとえば懸念情報が出た際に、Slackから直接メモを残せるようになれば、現場のオペレーションは一段と効率化されると思います。また、取引先のマスタデータベースとして活用でき、社名変更や代表者交代、新たなネガティブ情報が自動で通知される仕組みがあれば、継続的なリスク管理が格段にしやすくなります。こうした機能が加わることで、RiskAnalyzeが反社チェックにとどまらず、企業全体の内部統制基盤へとなってくれたら嬉しいなと思っています。
――貴重なご意見をいただきありがとうございます。最後に、弊社のサポート体制について伺ってもよろしいでしょうか?
佐藤:導入時のオンボーディングはとても分かりやすく、高評価でした。事前に当社の状況をヒアリングいただいたうえで、法務スタッフ向けに説明会を開いていただいたのですが、その準備や説明が丁寧で、現場への浸透もスムーズだったと感じています。
そもそも、製品自体がシンプルで直感的に使えるので、あまり大きなサポートは必要ではありませんでしたが、API連携時など、カスタマーサクセスチームのサポートが非常に助けになりました。問い合わせ対応も含めて、全体的に安心して任せられるサポート体制だと思います。総じて、導入から運用まで一貫して満足しています。
――導入の背景から運用方法、判断基準、そして今後の期待まで幅広くご紹介いただき、大変有意義なお時間となりました。
キャディ様が築かれたチェック体制は、企業全体のコンプライアンス基盤を強化する好例です。本日は誠にありがとうございました。引き続き、企業の信頼性向上に寄与できるよう尽力してまいります。