「“形式的な調査”からの脱却」─ 採用時のチェックで“企業を守る”運用へ

社会インフラ系企業向けのBPOサービスを提供するA社。受託業務の性質上、委託元の機密情報に触れる機会が多く、採用時点でのリスク管理が企業価値の維持につながります。こうした背景から、同社は奥部ショアに対するコンプライアンスチェックを抜本的に見直しました。
これまでの運用は、ブラウザ検索等が主でしたが、それでは「形式的なコンプライアンスチェック」に過ぎず、重要な情報を見落としている懸念がありました。さらに確認したことの証跡も残らず、社内ネットワークの制約上ブラウザ検索の範囲にも制限があるなどといった問題がありました。今回は、人事を統括する担当者に、導入の背景、運用設計、導入後の変化を伺いました。
委託元企業のレベルに合わせたコンプライアンス基準が必要
――まず、事業内容とコンプライアンス設計について差し支えない範囲で教えてください。
ご担当者様:当社は企業向けの業務支援(BPO)とクラウド型のITソリューションを事業の柱としています。業務上、委託元企業の機密情報に触れる機会が多いため、採用段階から応募者のコンプライアンス状況を厳格に確認する必要があります。採用と現場運用の両面で高い基準を設け、入社前のチェックを運用の中核に据えています。
――採用における「高い水準」とは、具体的にどの水準を指しますか。
ご担当者様:端的に言えば「採用時のコンプライアンスチェックを徹底する」ことです。クライアント企業の機密情報に触れるにあたり、応募者のコンプライアンスリスクとなる情報を事前に把握し、入社前に適切に評価・判断できる運用を指します。特に「人に関わるリスク」を事前に排除する体制を整えることが重要です。
――RiskAnalyze導入以前、採用時のチェックはどのように実施していましたか。
ご担当者様:基本的にブラウザ検索のみで確認していました。しかし、検索で得られる情報は断片的で、採用判断に本当に必要な情報を拾える手段にはなっていませんでした。特に、反社会的勢力との関係性など見落としてはならない領域は、一般の検索では判別しづらいと感じていました。
必要な情報には社内環境の制約で届かずヒットしない場合は記録も残らない、ブラウザ検索の限界
――具体的には、どのような点に課題がありましたか。
ご担当者様:主に3点です。
・ノイズ情報が多い:
同姓同名の別人がヒットし、追加確認の工数が発生する
・社内環境の制約:
掲示板やSNS等、確認したい情報ほど社内ネットワークから閲覧できない
・証跡が偏る:
ヒットがない場合に「どの範囲を確認し、何が出なかったか」を客観的に示す記録が残りにくい
結果として、マネジメント観点でも「実施している」という事実以上の説明が難しく、形式的な調査になっている点が大きな課題となっていました。
――中途採用におけるチェック強化に踏み切った背景を教えてください。
ご担当者様:委託元企業側では従業員に対して厳格なコンプライアンスチェックを受けて業務に従事しています。「人に関わるリスク」が原因でインシデント発生が発生しないように、当社でも厳格なコンプライアンスチェックが必要だと考えました。
委託元企業の機密情報に触れるのは最終的に人です。性善説ではインシデントの発生は防げません。委託元企業を守るためにも、採用時点でのコンプライアンスチェックは必要だと判断しました。
選定の決め手は「情報ソースの豊富さ」と「運用上の使いやすさ」
――導入にあたり、他社ツールの比較検討は行いましたか。
ご担当者様:複数社を細かく比較し、最終的に3社程度に絞り込みました。その中でRiskAnalyzeを選定した最大の理由は、情報ソースが豊富である点です。新聞媒体の種類やWeb情報サイトの収録範囲など、具体的な数値を比較した際に明らかに差がありこの点が最も大きな決め手となりました。
また、単価が最安というわけではありませんでしたが、当社としては情報ソースの豊富さを優先しました。加えて、RiskAnalizeは利用企業者数も多く、ログインの制限や同時利用の柔軟性があるということも重要でした。面接担当者が自ら検索・確認する運用であるため、実務に無理なく組み込めることが選定上のポイントとなりました。
採用時のチェックは「一次面接合格後」に統一し、漏れなく回る運用へ
――チェックは、どのタイミングで実施していますか。
ご担当者様:一次面接に合格した段階で実施しています。職種によって面接回数は異なるものの、「一次合格後にチェック」というルールに統一することで、運用上の漏れを防ぎやすくなりました。
――実務としては、どなたがチェックを担当していますか。
ご担当者様:各採用担当者が実施し、ヒットがあった場合は上長が確認のうえ判断します。
ヒット時には履歴書情報と突合し、必要に応じて居住地や経歴などの追加確認を行う流れです。
――実際に、ツール導入で検知できたケースもあったそうですね。
ご担当者様:はい。RiskAnalizeを導入してから約3か月で2件、リスク情報がヒットしました。
――検知時の状況として、印象的だった点はありますか。
ご担当者様:応募者の過去の年収や経験から見える能力水準が、当社の求人と比較すると非常に高く「どうしてこんなに年収が高くて、他業種での経験豊富な方が応募されたのだろう」と疑問がありました。
RiskAnalyzeのおかげで、コンプライアンスリスクがある方だと確認ができました。
導入前は、ブラウザ検索のみで運用していましたが、長年ヒットが出たことはありませんでした。ツール導入により、面接だけでは拾いきれないリスクが初めて可視化されたと受け止めています。
導入後の変化は「効率化」だけでなく「チェックの実効性」
――導入後、最も大きな変化は何でしたか。
ご担当者様:ブラウザ検索のみでは、必要な領域を十分に確認できないという点が明確になりました。特に反社会的勢力との関係性のような観点は、ブラウザ検索では把握しづらく、比較の対象になりにくいと認識しています。
――工数面では、どの程度変化がありましたか。
ご担当者様:従来は1件あたり5〜10分程度を要していましたが、1分程度まで短縮されました。体感としては約5分の1です。
年間換算では、最低でも0.4〜0.5人分程度の工数削減につながっていると見ています。
――工数削減以上に「質」の変化が大きい、という点も印象的でした。
ご担当者様:採用は候補者の良い面を見て判断しがちで、性善説に寄りやすい領域です。しかし、万が一問題が生じれば影響は大きく、性悪説の観点でしっかり対処する必要があります。RiskAnalyzeの導入は、単に工数削減をもたらしただけでなく、採用判断の実効性を高め、会社と委託元企業の保護に資する投資だと考えています。
同様の課題を抱える企業へ:「証跡が残らないことは業務として成立していない」
――最後に、同様の課題を抱える企業へのメッセージをお願いします。
ご担当者様:反社会的勢力の有無を含むリスクチェックは、法令や条例の文脈でも社会的に強く推奨される分野です。形式的に「検索した」というだけでは十分ではありません。証跡を残し、実効性のある運用を設計することが重要だと考えます。