「ヒットしない」がいちばん大変。“ルール”と“社員”を守る反社チェック運用を実現。
2025.06.03

金やブランド品、骨董品など多様な商材を扱う買取事業では、数多くの顧客と接する機会があります。その中で、反社会的勢力との接触を回避し、法令を順守しながら安全な取引を実現するには、現場に即したリスク管理体制が不可欠です。
主要都市をメインにした買取サービス事業などを擁するレクストホールディングス株式会社。その各事業での反社チェックを管轄している株式会社レクストカスタマーサービスでは、RiskAnalyzeを活用した反社チェック体制を構築。来店・訪問という異なる接点ごとに対応方針を決め、店舗スタッフとバックオフィスが連携して、効率的かつ実効性のある運用を行っています。
今回は、グループ内で反社チェックを担う株式会社レクストカスタマーサービスの矢野 弘和様に、導入の背景や現場での工夫、今後の展望について伺いました。
「精度とコストの両立」大量チェック時代の現実解として選んだツール
――RiskAnalyze導入前の課題と、導入を決めた理由を教えてください。
矢野:もともとは新聞記事閲覧サービスを使って反社チェックを行っていましたが、店舗数や対応件数が増えていく中で、徐々にコストがネックになってきました。年間で10万件近いチェックが見込まれる中で、以前のツールでは1件あたりの単価が高く、全件対応するには相当なコストがかかってしまうため、運用を見直す必要性を感じていたんです。
加えて、ただ数をこなせればいいというわけではなく、情報の精度もしっかり担保できることが前提でした。正直なところ、コストを抑えると精度が落ちるのではという懸念もあり、ツール選定にはかなり慎重になりましたね。
――他のツールと比較する中で、RiskAnalyzeの導入に至った背景を教えてください。
矢野:やはり反社チェックに特化した“検索精度”の高さが決め手でした。導入を検討する際、過去に新聞記事閲覧サービスでヒット実績のある名前を使って複数のツールで検証したのですが、確実にヒットしたのはRiskAnalyzeだけでした。他社ツールは与信審査向けの色合いが強く、反社情報の網羅性や精度に不安が残ったんです。その点、RiskAnalyzeは検索スピードや氏名表記の揺れへの対応といった現場視点での使いやすさにも優れており、「安心して任せられる」と感じて導入を決めました。
また、現場ではチェック対象の多くが「問題なし」なのですが、その“問題ないこと”を確認するためにかかる時間が積み重なると、非常に大きなロスになります。検索と確認という作業をいかに短縮できるかが大きな課題で、RiskAnalyzeのツールはその効率化をしっかり実現してくれると感じています。
法令遵守だけでなく、現場スタッフの安全確保を目的とした反社チェック運用
――現在は、どのようにRiskAnalyzeを運用しているのでしょうか?
矢野:当グループでは、古物商に該当する買取業を展開しており、主に店頭買取と出張買取の2軸で事業を展開しています。
店頭買取では、お客様がご来店され、お持ちいただいた品物を査定・買取しています。こちらでは、査定の後半で身分証明書を確認するタイミングがあるので、正確な氏名や生年月日が取得できた段階で、RiskAnalyzeでのチェックを行い、最終的な買取判断につなげています。ヒットしない場合はそのまま取引を進めますが、ヒットした場合は全件本社に相談が来るようになっています 。
もうひとつの出張買取では、お客様のご自宅を訪問して品物を買い取る形式です。出張買取の予約が入った時点で、事前にお名前や住所、生年月日などのチェックを行っています。ヒットした場合には訪問を見合わせています。
――店舗買取と訪問買取で、チェックの基準は異なるのでしょうか?
矢野:はい、異なります。
店舗の場合、カメラが設置されていたり、複数名のスタッフが常駐しているケースもあるため、万が一トラブルが発生した際にも比較的対応しやすい環境が整っています。そのため、チェック結果にある程度柔軟に対応する余地があります。
ですが、出張買取はスタッフ1名での訪問が基本で、女性査定員も多く在籍しています。そうしたスタッフが1名で対応することを考慮すると、より慎重な判断が求められます。
そのため、業界として対応が求められる窃盗や横領といった経歴のある方に加え、現場スタッフの安全を第一に考え、殺人や強盗、傷害などの重大な犯罪歴がある場合にも買取を控えるようにしています。法令遵守のための反社チェックはもちろん、現場スタッフの安全確保という観点からの運用も重視しています。

ヒットしなかった場合の検索確認作業の時間が大幅に短縮
――RiskAnalyzeを導入されてから、業務にどのような変化がありましたか?
矢野:一番大きかったのは、検索で該当が出なかった場合の確認作業の時間が大幅に短縮されたことですね。以前は「ヒットしなかった=本当に問題がないか」を調べるのにも時間がかかっていました。一件ごとのチェックが特別大変というわけではないのですが、件数が重なると大きな負担になっていたため、作業がかなり楽になりました。
その分、リスクのあるケースに集中できるようになったので、メリハリがついたと感じています。
――判断や照合のしやすさについてはいかがでしょうか?
検索結果がシンプルで見やすいのがすごく助かっています。以前は、リスクのあるケースはその場で店舗スタッフが記事を読み解き、薬物や窃盗などのリスク情報を基に取引の可否を判別していました。ですが、RiskAnalyzeだと犯罪種別に分かれてリスク情報の表示がされるので、店舗スタッフの判断に頼らず、一定の基準で取引の可否を判断できるのが大きいです。
自動化を見据えた反社チェック体制の構築を目指す
――弊社のサポート体制はいかがでしょうか?
サポートについては、非常に柔軟にご対応いただいていると感じています。こちらから「ちょっと相談があるんですけど……」といった連絡を突然させていただくこともあるのですが、いつも快く、丁寧に対応していただけるので大変ありがたく思っています。
――今後の運用における展望があればお聞かせください。
矢野:私たちとしては、以前から反社チェックのプロセスを、できる限り自動化していきたいという考えがありました。その点でRiskAnalyzeは、AIによってリスク情報だけが収集されている点やAPI連携の柔軟性といった機能面で、私たちの理想に非常に近いと感じていました。実際、こうした仕組みが現実的に実装可能だと確信できたのが、RiskAnalyzeを導入する決め手のひとつでもあったんです。
将来的には、たとえば出張買取の予約情報を入力する段階で、自動的にRiskAnalyzeと連携し、スクリーニングが完了しているような状態を目指したいと思っています。人の目による最終確認は必要だとしても、その前段のチェックはできる限り効率化し、現場の負担を減らす仕組みを整えていきたいです。
――最後に、RiskAnalyzeに期待していることがあればお聞かせください。
矢野:今後期待したいのは、同姓同名の別人かどうかを判断しやすくする機能です。たとえば「田中〇〇」や「佐藤〇〇」など、日本に多い名前の方を検索する際に、住所や生年などの情報だけだと、どうしても判断が難しい場合があります。
万が一別人を誤って除外してしまうと機会損失にもつながってしまうため、名前の希少性や同姓同名の人数など、判断材料となる補足情報があると助かります。より正確で効率的な判断のために、そういった機能の拡充に期待しています。